学力を育てたければ、何よりもまず母語(日本語)です
- ヒロユキ先生
- 2024年6月23日
- 読了時間: 3分
更新日:2024年7月19日
人間は、考えるときには母語を使います。母語が未熟な状態はつまり、思考力が未熟な状態です。外国語の学習は重要ですが、母語能力が弱いと学力が伸びないことは、多文化教育の研究で証明されています。
学校や塾の勉強に使う言葉は、「学習言語」と呼ばれ、日常会話とは異なります。外国にルーツを持つ子供は、日常会話はすぐに身につけますが、日本の歴史や文化に根差した「学習言語」を身に付けづらいので、学力が伸び悩むそうです。
「学習言語」の有無が成績を左右するのは、文化資本論からも説明できます。図書館や美術館、博物館によく行く家庭の子供が、スマホやゲームをよくする家庭の子供よりも学習言語をたくさん身に付けているのは容易に想像できます。
いやな言い方をすれば、母語の重要性を知っている家庭の子供とそうでない家庭の子供では、塾通いの前からすでに差がついてしまっている、ということです。
では、どうすれば子供の母語能力を豊かにできるのか?

小学受験、中学受験に使う親子の時間と労力を、読み聞かせに回しましょう。美しい日本語のシャワーは、地頭 を鍛え、好奇心を育みます。とにかく、良質で大量の日本語を子どもに浴びせましょう。
読み聞かせでおすすめなのが、「交代読み」です。お子さんと交代交代で本を読み進めていくのです。子供もただ聞くだけではないので、より主体的に本の世界に入り込めますし、音読が脳を鍛える効果も期待できます。何より親も楽しめます。
本を選ぶときは、何よりもお子さんの「読みたい」という思いを大事にしてください。名作やおすすめという親の押し付けではなく、子どもの本の世界へと向かおうとする意志を尊重します。
交代読みをしたら、感想を話し合いましょう。親の感想を聞くことにより、子供の知的な世界は抜群に広がっていきます。また、子どもの興味関心がどこへ向かっているのか、親が把握することにも役立ちます。
感想の交流を体験活動につなげられれば最高です。妖怪が出てくる話を読んだのであれば、民俗資料館や祭り、神社の神事に行ってみたり、食べ物の本を読んだのであれば、収穫体験へ行ったり子どもと一緒に台所に立ってみたり。
そうした読書世界と現実世界の相互交流(行ったり来たり)が、子供の知識や言葉を「生きて働く」力に育てていきます。身体感覚や実体験を伴った母語能力です。
そしてこれこそが、子供の学力を左右する「学習言語」の正体です。
読書と世界のつながりを知った子供は、知識を得ることや学ぶことの楽しさと喜びを手にしています。 こうなれば、もう子供は一人でもどんどん勉強していくようになります。
なぜなら、学ぶということが生きる喜びだと知っているからです。
子どもの『母語能力』を豊かにする方法を本にまとめました。たくさんの親子の子育て例を紹介しているので、参考にしてみて下さい。青春出版社から出版されています。
メールからご連絡いただければ、「新しい学力」づくりや子育て習慣、親子関係の在り方についてアドバイスや実行支援をいたしますので、お気軽にお知らせください。
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