文化資本論あるいは再生産理論を理解して子育てしましょう
- ヒロユキ先生
- 2024年6月2日
- 読了時間: 2分
更新日:2024年7月19日
子どもの学力を左右するのは、地頭よりも家庭環境です。家庭の文化環境が勉強や学問に親和性があれば、子どもの学力は確実に伸びます。逆に家庭環境に学問との親和性がないと、子どもがいくら努力しても学力は伸びません。
大人が読書したり勉強したりしている家庭の子どもと、ゲームやスマホに興じている家庭の子どもでは、学校や塾で同じように勉強しても、身につくものに差がついてしまうのは容易に想像がつくのではないでしょうか。
上で述べたような、子どもの能力よりも家庭環境の方が子どもの学力に影響を与えるという研究を、文化資本論あるいは再生産理論、ヒドゥンカリキュラム論などと呼びます。

それぞれが分析や批判の対象としているものが少しずつ異なるので、名前も異なりますが、子どもの先天的な能力よりも、保護者のつくる後天的な家庭環境の方が学力にとっては重要であるという点では一致した考えです。
これらの議論は、教育社会学の分野において、1980年代以降、膨大な調査研究を積み上げてきました。では、これらの膨大な統計調査によって証明された、子どもの学力と関係する家庭環境(保護者の習慣)とは何なのでしょうか。
詳細は、p・ブルデューの「ディスタンクシオン」をご覧いただきたいのですが、いくつか例を紹介しますと、「読書」「新聞」「外国語」「クラシック音楽」「博物館」「美術館」「旅行」「体験活動(スポーツや音楽)」「知的なゲーム(パズルや将棋など)」「丁寧でな正確な言葉遣い」「他者への敬意や礼儀、マナー」「上記にかかわる親子の会話」などです。
ざっくりした言い方をすれば、「教養」といえるかもしれません。
こうした文化的な経験をしていることが、子どもがその後の人生で学力を伸ばすのに重要な役割を果たすということです。
考えてみれば当たり前ですね。例えば塾で歴史を習ったときに、読書やクラシック音楽、博物館や美術館見学の経験があれば、自分の経験と習った知識を結び付けて覚えることができます。こうすることができれば、習ったことを簡単には忘れないでしょう。
これこそが、私たち親が、子どもにしてやれる最も重要な手助けではないでしょうか。
メールからご連絡いただければ、「新しい学力」づくりや子育て習慣、親子関係の在り方についてアドバイスや実行支援をいたしますので、お気軽にお知らせください。
Comments