2020年以降、増加の一途をたどる「総合型選抜(学校推薦)」の合否の鍵は、「新しい学力(非認知能力)」
- ヒロユキ先生
- 2024年7月22日
- 読了時間: 4分
総合型選抜(学校推薦入試)とはどのようなものか、東北大学の入試を例に見ていきましょう。

東北大学の総合型選抜は、一次選考と二次選考に分かれています。一次選考では、学校調書による書類審査と学力検査が行われます。学力検査は共通テストを利用するものと、学校独自のものがあります。どちらも内容は同じで、英語と国語の論述試験が課され、「読解力」と「表現力」が審査されます。
一次選考通過者は、二次選考で面接官による口頭試問を受けます。ここでは、「学問への熱意」「問題関心」「独創性」「積極性」が判断されます。
入試要項(2025年度)にも明記されていますが、総合型選抜にも一般選抜同様の学力が求められています。一般選抜との併願も可能なため、受験生としては「受験のチャンスが一回増えた」という認識です。つまり、総合型選抜(学校推薦入試)は、一般選抜と同じものなのです。
それを証明するかのように、総合型選抜には、「新しい学力」を見るための論述試験と面接(口頭試問)が用意されています。ここで必要とされる力は、「熱意・関心」(=モチベーション)、「独創性」(=創造性)、「積極性」(=チャレンジ精神)です。
面接ではペーパーテストでは測りにくい「熱意・関心」を中心に質問されます。具体的には、「なぜこの大学に入りたいか」「この大学で何を学びたいのか」といった志望動機と、それに合わせて「将来はどのような職業に就きたいのか」「どのように生きたいか」という未来の自分像を聞かれます。その際、星の数ほどある大学の中から「なぜこの大学のこの学部でないといけないのか」説得力をもって説明する力も求められます。つまり、自分の思いを伝えると同時に、相手のこともよく調べ、知っていなければいけないということです。その熱意と関心を見て、志望する側の学生と受け入れる側の大学のお互いの思いが合致したら「合格」となるのです。
こうした面接で選ばれる人になるには、日ごろから自分が「どういう人でありたいか」「どのように生きていきたいか」を考え続けていなければむずかしいでしょう。ただ、人は何もないところから、考えを巡らせることはできません。なにかしらのきっかけや出来事があって、はじめて「自分はどういう人になりたいのか」「どんな世の中になってほしいか」「そのためにできることは何か」を考えるようになります。その思考に至るまでには、さまざま経験が必要です。経験というと、いろいろなことを体験させることと思いがちですが、何か特別なことをしなければいけないというわけではありません。本を読んだり、年齢の違う人と話をしたり、ボランティア活動に参加してみたりと、日常のなかでできることもたくさんあります。また、親子の対話を大切にするだけでも大きな意味があります。大事なのは、自らの体で感じ、考えてきたかどうかです。

このように、総合型選抜においても、一般入試とほぼ同様の「新しい学力」が求められていることがおわかりいただけたかと思います。
「新しい学力」が求められる問題は、こうした熱意・関心を見るものもあれば、「あなたならこういうときにどうしますか?」といった独創性を見るもの、「あなたの考えを書きなさい」といった意見を求めるものなど、さまざまな形で出題されます。早稲田大学・慶應義塾大学では約2割、旧帝大では3―5割、やはり東京大学はいちばん多く5割以上がこのような問題になっています。
ところが、巷ではいまだにたくさんの知識を覚え、問題を解くといった勉強法がなされています。子どもたちは、日々、困難な受験勉強に立ち向かっています。その彼らが自ら、こうした大学側の選抜意図を理解し、必要な「新しい学力」を計画的に身につけていくのは、無理のある話です。
次で詳しく説明しますが、学校や塾は「新しい学力」を身につけさせるための手段をもっていません。ここには、どうしても親のサポートが必要になるのです。このことを理解せずに受験勉強に励んでも、「新しい学力」は身につかないので、的外れな努力をしていることになります。
一流大合格には、「新しい学力」が必要になること。それは親のサポートなくしては身につかないこと。これらを理解していることが、一流大合格へのはじめの一歩となるのです。
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